自閉症 発達障害

自閉症や発達障害について

遺伝子の突然変異と自閉症

テレサ・コンリック

このテーマは今まで何度も取り上げられていて、実際のところ目新しいニュースではない。親の年齢とこうした「de novo突然変異」を結び付ける考えは、長年自閉症の「原因」を探る研究の中で大々的に扱われてきたもののひとつだ。自閉症の因果関係を追究しても蔓延する患者数の急増を減らせるわけではなく、さまざまな極めて難しい健康問題や行動上の症状に苦しむ人々にとっても意味がないので、無駄だと考える人も多い。

Age of Autismでは、ボブ・クラコフが最近、この話題について思慮に富む記事を書いた

この論文が示したのは、環境要因に二重の役割が存在する、ということである。

  • (1) 環境要因は論文のデータに見えるようにde novo突然変異を引き起こし、突然変異は年齢とともに蓄積していく。
  • (2) de novo突然変異は幼児を脆弱にする場合がある。
  • (3) それゆえ環境要因は(環境に起因する)遺伝的に感受性の強い子供に疾病を引き起こす。そのため本論文では、自閉症や統合失調症の主原因が遺伝であることを示すと言うよりも、重要な有効変数が環境的要因であるという主張を支持するものである。

それゆえ、こうしたde novo突然変異を引き起こした環境要因の例を調査することは有効な方法と思われる。もう1回研究をして同じような焦点の間違ったシナリオ何度となく出すというのは、費用がかかるだけでなく、自閉症研究資金の適切な使い方とはいえない。

次の実験サンプルでは、何が起こりうるかについての実情を示している。

  • De Novo突然変異:「遺伝ではない。遺伝しないが、親の卵子もしくは精子、または受精卵自体が突然変異を起こし、その結果家族の1人に遺伝子変化が生じたことにより引き起こされる遺伝子変異。この突然変異は親の遺伝暗号には含まれない
  • 突然変異原:「有機体の突然変異を誘引するか、その頻度を高める可能性のある因子。化学薬品、紫外線、放射性元素など。」
  • 「FluzoneワクチンもインフルエンザA(H1N1)2009 Monovalentワクチンも、発癌性や変異原性があるとも、妊娠障害を起こすとも判断されなかった。」
  • 「チメロサールは遺伝毒性がある」 - 遺伝毒性:DNAを傷付けるため、突然変異や癌を引き起こすことがある。
  • チメロサールは医薬品、特にワクチンの防腐剤として広く使われている。健康に悪影響を与える可能性があるため、その新陳代謝と毒性について緊急に調査する必要がある。そのため、遺伝毒性は注射部位で発生しうる濃度においても見られた。毒性と毒性に関連する小核上昇は、0.6µg/ml以上のチメロサールで見られた。このデータはチメロサールの広い普及に対して幾分の懸念を投げかける。

2010年、自閉症を母親の責任とする言説からの揺り戻しで、別の「高齢の父親が自閉症を引き起こす」という研究がニュースになった後、親のde novo突然変異がどの程度自閉症のリスク要因になるのかを研究した論文が発表された。

2010年1月

自閉症の環境リスク要因:障害に貢献するde novo突然変異を起こしやすくするのか?概要

「最近の研究で、自閉症の遺伝的リスク要因の多くがde novo突然変異であることが分かった。妊娠時の両親の年齢が高いほど自閉症とde novo突然変異のリスクが高まる。

我々は自閉症リスク上昇に関連する他の環境要因も変異原性のものであり、de novo突然変異を引き起こすことで自閉症に寄与しているのではないか、という仮説を検証した。

研究論文を調査して、妊娠前の暴露が増えると自閉症のリスクが上昇すると思われる環境要因が9個特定された。その要因のうち5個--水銀、カドミウム、ニッケル、トリクロロエチレン、塩化ビニル--は突然変異原であると立証されている。他の4個--都市部での居住、高緯度エリアを拠点としていること、高水準の降雨の経験など--は、日光露出を減少させ、ビタミンD不足のリスク上昇に関連している。ビタミンDはDNA損傷の修復と酸化ストレス(損傷の主要原因)の保護において重要な役割を担っている。

そのため、ビタミンD不足に関連する要因は変異率上昇とDNA損傷修復の障害に寄与する。また、自閉症の一致率で一卵性双生児が二卵性双生児より顕著に高い理由を説明するのにde novo突然変異がいかに役立つかということも示した。

De novo突然変異はまた、遺伝的要因の強さと自閉症患者の受胎率の低さ ―結果的に自閉症が疑われる遺伝子に淘汰圧がかかる―を示す証拠から、自閉症の罹患率が非常に高いことも、部分的に説明することができる。このような証拠の一部は仮説を支持するものであり、我々の提案する、従来研究の制約に対処する新たな研究方法の正当な根拠となる。

この仮説は自閉症においてde novo突然変異が果たすと思われる病因的役割を理解する上で影響を与えるものであり、当該障害の一次予防法へのアプローチを示唆するものである。例えば蔓延するビタミンD不足や既知の変異原の露出への対処法などである。」

論文全体での重要部分をいくつか挙げる。

  • 自閉症におけるミトコンドリアと核のゲノム不安定性の証拠を精査する。
  • 一生涯における精子細胞生産は突然変異の確率が卵子の場合よりも顕著に高い。
  • Palmer et al.は、特定地域の地理的中心地近傍で水銀放出量が1000 lb増えるごとに自閉症罹患率が2.6%高まり、近隣の発電所の排出ガスで3.7%高まることを発見した。
  • 一部の証拠から酸化ストレスが突然変異生成を誘発することが示された。
  • 精子細胞は卵母細胞よりも酸化ストレスの変異効果に影響を受けやすいように見える。精子細胞の特徴の一部、例えば生殖に不可欠な独特の膜構造などが、ROS生成率上昇に寄与している。
  • 突然変異誘発物質導入の4週間前にビタミンDで処理されたラット肝細胞は、染色体異常の発生率が顕著に低かった。
  • 現在の仮説は、妊娠期および幼児期における毒性因子への暴露が自閉症発症に寄与する可能性を排除しない。酸化ストレスと変異効果も有糸核分裂と発育に悪影響を与える可能性があるためである。

多くの研究者は、妊娠期間の要因だけを研究しようとするかもしれない。そうすれば、自閉症はすべて「遺伝的」であるという方向性を示せるからだ。だが出生前後の脆弱性が蔓延する罹患数の増加因子になっているという証拠が多数示されている。

水銀暴露による両親のde novo突然変異は、マーク・ブラクシルとダン・オルムステッドの実施した研究で例証されている。これは彼らの著作、「The Age of Autism: Mercury, Medicine, and a Man-Made Epidemic」で示されている。

「我々は、自閉症は1930年代以降、新しいという単純な理由で新たに究明されるようになったと考えている。有機化学工業は第一次大戦中の化学兵器研究から発展したもので、そのため水銀の商用利用につながり、エチル水銀から生成された。

特に毒性の強い化学物質も導入されるに至った。我々の研究では、これが初期の自閉症の例に直接つながった、と仮定している......家族は医学専門家、農業、林業の周りに集まっている---。

もっとも毒性の強い最新型の水銀にさらされる可能性が高い3大リスク要因だった.....エリザベス・ピーボディ・トレベットがハーバードで実施した、育児相談所とのジフテリアワクチン成分の共同研究が、チメロサール含有ワクチンの幼児期接種にリスク上昇に直接つながる要因があることを示した最初の例となった....ボルチモアの周辺で発生した初期症例の一部と1930年代初頭に始まったその活発な反ジフテリアキャンペーンについても、特筆に値する。」

この真実は特筆に値するものの恐怖の対象となり、大慌てで否定しようとする動きが出た。なぜか?恐らく、ワクチンだけでなく、汚染・農薬・有害食品添加物といった問題の高まりが、何十億ドルもの市場と結びついていたからだ。

恐らく1930年代から、猛毒を取り扱う産業の拡大がまさに自閉症を発生させる導火線のような役割を果たした可能性が高く、過剰なワクチン接種が各州、地域、小さな町で爆発してその炎を燃やしている。私達は全員で自閉症の蔓延を食い止め、患者を支援するための研究と処遇を要求しなければならない。私達の子供と子孫はそうされるべき価値を有するはずだ。

テレサ・コンリックはAge of Autismの寄稿編集者である。

要するに、親からの通常の遺伝子が原因ではなく、親たちも重金属や化学物質に晒されることにより、遺伝子の突然変異が起こる。父親が高齢だと自閉症の発症率が上がるのは、若い父親より毒や化学物質の暴露が多いからである。

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