予防原則という考え方
予防原則とは、化学物質や遺伝子組み換えなどの新技術などに対し、環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす仮設上の恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも規制措置を可能にする制度や考え方のこと。
1990年頃から欧米を中心に取り入れられてきた概念。しかし、水銀について予防原則の考え方を用いる事は、日本社会が拒んでいます。
水銀のすの字が出るだけで、そこから波及していく影響が大きいとふんでいるのでしょうか?
皆さんよく考えてください。発症率が30年でなぜ10倍になるのですか?
染色体異常などの先天性疾患の場合は、一定の統計確率で発症しています。
そして自閉症は、今もふえつづけているのです。そして、不思議なことが、自閉症には、いくつかあります。男子と女子の割合が4:1とか、兄弟や双子でなるケースや兄弟がいる場合は、第一子が多いとか、他の先天性疾患でこの様なことがありますか?
真剣に原因追究をしていけば必ず水銀にぶつかります。
水俣病を経験している我が国は、水銀に対しては教訓されているのに、なぜこのような事態になっているのでしょうか?
我が国でも厚生労働省の一部は、既にわかっているのでは、とおもいます。
現に、魚にしか予防原則ができないのですから、自閉症に水銀が関与していそうなことは、有機酸検査の結果を見ても、わかるものが沢山あります。水俣病研究にてらし合わせても符号するものがいくつかあります。 胎児、乳児に水銀が脳でどのような悪さをするのか?
セロトニンについて
やっぱりか、と思いました。
水銀の影響でセロトニンが多く作られるのも下記のラットの実験の表を見ていただければわかると思います。セロトニンの前駆物質であるトリプトファンの代謝で出るキヌレン酸の値の高いお子さんを多く見かけます。
(有機酸検査から)
このような場合は、たいてい睡眠に問題があります。
ドーパミンついて
ドーパミンも水銀の影響を受けます。ホモバニリン酸やバニリルマンデル酸と言ったドーパミンの代謝物の値に問題のある子もよく目にします。
(有機酸検査から)
メタロチオネインやグルタチオンについて(解毒に作用する物質)
自閉症児にこれらの物質が少ない、機能しないという研究は、欧米の研究でわかっています。
水俣病研究においても、これらの物質が水銀の影響で生成や代謝が悪くなることが証明されています。
グルタチオンについては、グルタチオンの代謝物であるピログルタミン酸が少ないお子さんをよく目にします。
(有機酸検査から)
その他、水銀の影響でラットの自動運動量が増えたり(多動)学習能力が劣ることも明らかになっています。
メチル水銀の脳内モノアミン代謝に及ばす影響に関する研究
国立水俣病研究センター 臨床部
情動面に脳内のモノアミン代謝系を介して影響を及ぼしている可能性が考えられる。
この研究の目的は、メチル水銀による情動行動に脳内モノアミン代謝、不飽和脂肪酸、内分泌ホルモンが影響しているか明らかにすることである。
下記の表でわかるように、4群のうち n-3系不飽和脂肪酸欠乏飼料で飼育し交配した妊娠ラットに、メチル水銀を投与した母親ラットは、生まれた仔ラットを食殺する情動行動が認められた。
また、n-3系不飽和脂肪酸添加飼料で飼育した母親ラットに同量のメチル水銀を投与した場合は、母親ラットの攻撃行動は、認められなかった。
これらの結果から妊娠期にメチル水銀を投与すると母親ラットの脳内モノアミン代謝系が撹乱され、攻撃行動が生じるのを、n-3系不飽和脂肪酸が、脳内モノアミン代謝系を改善し攻撃行動が抑制された可能性が考えられた。
また、成熟期ラットに、メチル水銀を投与した場合も、脳内モノアミン代謝系が変化することが示唆された。
メチル水銀曝露母親ラットの攻撃行動
n | 妊娠母親ラットn(A) | 食殺母親ラットn(B) | |
n-3 欠乏群 | 10 | 4 | 0 |
n-3 欠乏+水銀 | 10 | 3 | 2 |
n-3 添加群 | 10 | 7 | 0 |
n-3 添加+水銀 | 10 | 2 | 0 |
メチル水銀を投与前後、ラット(8週)の血漿中のドーパミン・セロトニン濃度の変化
n | ドーパミン(ng/ml) | セロトニン (ng/ml) | |
メチル水銀を投与前 | 3 | 1.33 | 18.13 |
メチル水銀を投与後 | 3 | 0.23 | 59.47 |
胎児期におけるメチル水銀暴露によるドーパミンニューロン障害メカニズムに関する研究
国立水俣病研究センター 基礎研究部
胎児期におけるメチル水銀暴露によりドーパミンニューロンの数的異常、機能的異常が引き起こされることが推測されるがその詳細は不明である。本研究では、ドーパミンニューロンが発生する胎児期に焦点を絞り、そのメカニズムを検索することを目的とする。
マウスへメチル水銀暴露(30ppm)し妊娠16日に帝王切開にて胎児を取り出しその後の脳を検索に用いた暴露群の胎児おいて、中脳を含む脳後部においてドーパミン量が有意に減少していた。また、中脳を含まない脳前部においても減少する傾向にあった。
メチル水銀のグルタミン酸レセプターを介した脳神経細胞局在性障害に関する研究
国立水俣病研究センター 臨床部、基礎研究部
成熟ラットのメチル水銀の脳障害部位である小脳顆粒細胞および大脳皮質の局在性障害にグルタミン酸受容体のNMDA型のグリシン site PCP site メタボトロピック型の関与が考えられた。
以上より、メチル水銀によりNMDA型、メタボトロピック型グルタミン酸受容体が、過剰興奮し、ホスファジル・イノシトール代謝によって生じたイノシトール3燐酸が小胞体からの貯蔵性のカルシウムイオンを放出しμカルパインの活性化が起こり、リソソームからカテプシンBが放出されることにより、細胞機構成蛋白が破壊され神経細胞死を生じる機序を推定した。
性ホルモンがメチル水銀に及ぼす影響に関する研究
国立水俣病研究センター 臨床部
水俣病患者の有病率は、男性が女性より高いことや、女性でも閉経後の方が高いことがしられている女性ホルモンは、抗酸化作用としての性質があるが、メチル水銀中毒の病態に酸化的ストレスが関与している事実を考えると、水俣病の発症に性ホルモンが影響していることが推測される。
本研究では、メチル水銀中毒の発症における性ホルモンの関与についてモデル動物を作成して検討を行う。
雌ラットと卵巣を取った雌ラットを用いてメチル水銀暴露させその後に全血液の水銀濃度を測ったら卵巣摘出ラット方が高かった。
なぜ自閉症児は、男児が圧倒的に多いのか、これで説明がつく。
培養細胞を用いたメチル水銀の無機化反応機構の解明
国立水俣病研究センター 基礎研究部
人および哺乳動物に取り込まれたメチル水銀は、時間の経過にともなって体内で無機水銀に変換されることが、報告されている。
本研究では、メチル水銀の毒性発現が、異なる組織由来の細胞株を用いてメチル水銀の無機化反応の検討を行う。
本年度は下記の細胞株を用いてメチル水銀の無機か反応の有無を確認した実験は、チャイニーズハムスターの正常卵巣由来の細胞(CHO)を用いた結果は、メチル水銀添加24時間または48時間、CHO細胞内で無機化反応が起こっていることを確認した。
私たちも有機水銀が脳で無機水銀になって蓄積するとキレート剤を使わないと排出できなと考えています。
有機水銀中毒症におけるキレート剤の効果
国立水俣病研究センター 臨床部
金属排泄キレート剤が各種開発されつつあるが、有機水銀中毒に関する効果は、単剤での効果判定のみが、なされており、多剤併用効果について検討した。
7週齢ウィスター系雄性ラットに塩化メチル水銀5mg/kg/dayを10間経口投与し急性有機水銀中毒を発症させ、投与終了後7日目からDEDおよびDMSAを40mg/kg/dayを10日間を単独あるいは、併用にて腹腔内投与し実験開始30日目にラットを生理食塩水で還流し血液・脳・腎臓・肝臓などの残留水銀濃度を金アマルガム酸素燃焼法にて測定した。
塩化メチル水銀5mg/kg/dayを10間経口投与後20日目の血中水銀濃度は、13.6 ± 2.9ppmであったキレート剤の単独投与により血中水銀量は低下したが、その水銀排泄効果はDEDよるDMSAの方が強かった。
DEDは脂溶性の薬剤で、細胞内からの水銀排泄効果があるといわれているが、今回の併用投与実験で水銀併設相乗効果は有意な差はみられなかったが、DMSAと併用することで水銀の排泄に効果があることが示された。